「ノンバイナリー」という言葉を聞いたことはありますか?
アーティストの宇多田ヒカルさんが、2021年にカミングアウトしたことで知ったという方も多いのではないでしょうか。
今回は、多様に存在する性のあり方の一つ、「ノンバイナリー」について説明します。
ノンバイナリー(nonbinary)とは?
「ノンバイナリー(nonbinary)」の方は、自分は「男である」「女である」などという「性自認(自分が認識する性・心の性)」の境界線をハッキリと持っていません。
ある時は「自分が男性である」と感じ、また、ある時は「今日は女性っぽいかも…」と感じるなど、自分のことを男性とも女性とも明確に位置付けられません。
「バイナリー(binary)」という言葉は、一般的に「二つからなる」、「二進法」という意味を持ち、0か1かの「二択」を指します。
「バイナリージェンダー」と言えば、男性か女性の二択ということ。その反対で、「ノンバイナリージェンダー」とは、「二択ではない」ということです。
ノンバイナリージェンダーを表現するカラー
LGBTを表現する6色のレインボーフラッグがあるように、ノンバイナリージェンダーにも、4色で表現する旗があります。
イエロー・ホワイト・パープル・ブラックの4色で、それぞれに意味が込められています。
イエロー
男性・女性の二つの性の外にいる人々を表します。
ホワイト
光の三原色が合わさるとホワイトになります。多数の、あるいは全ての性自認を表現しています。
パープル
両性や中性、どちらともないノンバイナリーの性別が揺れ動くことを表現しています。
ブラック
黒は色がないので、「ジェンダーの外」と感じる「無性(アジェンダー)」を象徴しています。
自分の性をカテゴライズする必要はない

様々な性のあり方があり、それをカミングアウトする有名人も増えてきましたね。
自分の性をどう自認するかは、十人十色です。
男性でもいいし、女性でもいい。そのどちらでもないと自認してもいい。
もし、「自分の性が男性なのか・女性なのか」と迷った時は、無理に二つの性に当てはめず、自分の気持ちのままに、過ごして良いのです。
もし、家族や知人が、自身がノンバイナリーであることをカミングアウトしてくれたら、「そうなんだね、離してくれてありがとう」と伝えましょう。
法的にノンバイナリーを認める国もある!

諸外国における性の多様性を認める動き
現在の日本では「ノンバイナリー」という性のあり方について、聞きなれない方もいるかもしれません。
しかし、世界では、「ノンバイナリー」を運転免許証やパスポートなどの公的書類で認める国々もあります。
アメリカ、イギリス、ドイツ、カナダなど、多様な性自認を法律で認める国が増えています。
アメリカでは、パスポートの性別欄に、男性:M、女性:W、ノンバイナリー:「X」と表記しています。
また、イギリスでは、男性・女性を表す敬称「Mr.」や「Miss.」などと同じように、ノンバイナリーの敬称を「Mx.」と表しています。
日本における性別欄の表記変更の動き
日本でも、自治体や企業において、これまで各書類に記載されてきた「不要な性別欄」をなくしたり、「不回答」の項目をつくったりと、ノンバイナリーに配慮した動きもでています。
無意識に、男・女を問う項目があるだけで、よく考えてみると必要のない項目だったということは、結構あることなのです。
いずれ、国の法律として「性の多様性」が認められれば、また少し「誰もが自分らしく生きられる社会」に近づけるかもしれません。
多様性を理解することは、新しい自分に出会えるチャンス

性のあり方は、多様なもので、「人の数だけあり方がある」といえるもの。
現在の日本では、まだまだ知られていないことばかりです。
自分が思っている「普通」には、意外と偏見が隠れているかもしれません。
まだ、LGBTをはじめとする多様な性のあり方について馴染みのない方は、知識のアップデートをするチャンス。
多様性に対して正しい理解をすることは、自分にも優しくなれる、認めてあげられる機会です。
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